製品の開発を担当する「開発部門」は、大きく2つに分かれています。
1つは天井などの内装部品を扱うトリム開発部、もう1つはダッシュインシュレーターなどの防音・防振製品を扱うNV開発部です。
さらに、それぞれの部門内には、開発のフェーズに応じて以下の2つのチームがあります。
先行開発:新しい自動車に合わせた新製品の企画・提案を行うチームで、「0から1を生み出す」ことを目指します。
量産開発:既存製品の改良を担当し、材料の見直しやコスト削減を通じて性能や利益の向上を図る、「1を10に育てる」チームです。
このように、開発部門では製品の種類や開発段階に応じて、専門性の高い体制で製品づくりに取り組んでいます。
製品設計は3D CADを用いて行います。
設計にあたっては、お客様の要望や法規制などの要件を踏まえながら、図面の作成(出図)を進めていきます。
また、部品の形状や車体への取り付け方法を決定するために、自動車メーカーや社内の関連部署との調整も重要な業務の一つです。
隣接する部品との整合性を保つため、形状の変更が必要になることもあり、場合によっては自動車メーカーに常駐して図面作成を行うこともあります。
同じ製品であっても、使用する素材が異なれば設計内容も変わってくるため、幅広い知識と柔軟な対応力が求められます。
工場で製品が安定して生産できるよう、事前の準備を行います。
まず、生産工程の流れや加工手順などを検討し、試作に向けた体制を整えます。
自動車メーカーでは、量産に至るまでに通常4〜5回の試作が行われるため、HOWAの製品も各試作段階に合わせて製作し、実際に車両へ取り付けることで課題を抽出します。
見つかった課題は検討・改善を重ね、次回の試作までに対応策を反映させていきます。
試作を通じて、加工手順・作業時間・材料の投入量など、さまざまな条件を最適化し、より効率的な生産工程を構築します。
また、作業者によるミス(ヒューマンエラー)を防ぐための仕組みも導入し、安全で安定した生産体制を整えていきます。
製品の製造に必要な設備・金型・ツールの準備を行います。
HOWAでは製品の種類が非常に多く、さらに同じ製品でも車種ごとに仕様が異なるため、製品ごとに最適なツールの新規手配や、新しい製造工法の検討を行います。
また、市場競争力を高めるため、製造原価の低減につながるアイテムや方法の検討も重要な業務のひとつです。
さらに、工場で使用される産業用ロボットにはプログラムを組み込み、動作の調整を行います。
どの順番でロボットを動かすと最も効率的かを考え、最適な生産工程を構築していきます。
生技開発部は、効率的かつ高品質な製品づくりを実現するために、アイデアを出し合いながら、ものづくりの現場に直接関わることができる部門です。
HOWAが手がける製品の性能や品質に問題がないかを確認するため、物理的および科学的な各種試験を実施しています。
物理的な試験では、部品を120℃から-40℃という過酷な環境下にさらし、変形や剥がれなどの異常が発生しないかを確認します。
また、自動車の衝突を想定した衝撃試験も行っており、実際に衝突させる実験に加え、コンピュータシミュレーションによるデジタル評価や解析も活用しています。
科学的な試験では、部品から発生するにおいを評価する「臭気試験」や、人体に有害な物質が含まれていないかを確認する「VOC試験(揮発性有機化合物試験)」などを実施し、安全性と快適性の確保に努めています。
生産管理システムや販売・購買システムなど社内のさまざまな基幹システムにおける企画・開発・保守業務を担い、社内の業務効率化・DX化に向けて施策検討・ツール導入・利活用サポートを行います。
また、ITネットワークや機器の管理・更新など社内インフラ整備に加え、機密情報や技術情報、特許など知的財産の管理も技術管理部門の重要な業務です。従業員のセキュリティ意識向上を目指し、教育や指導なども行います。
実際に生産拠点や各業務部門に足を運び、状況を確認しながら対応を検討することもあります。社内ヘルプデスクの運用なども行うため、従業員との関わりも多く、現場の声を聞きながら社内の環境整備に取り組んでいます。
新しい部品の受注に向けて、営業部門では直接お客様から情報を収集し、それを社内へ展開します。お客様の要望に応えられる製品を開発できるかどうか、各専門部署と協議しながら提案内容をまとめていきます。
また、工場見学の案内を通じて、HOWAの生産工程や技術力をお客様に紹介することもあります。「営業」と聞くと、対外的な業務が中心と思われがちですが、実際には社内での調整業務も多く含まれます。たとえば、見積対応では他部署から原価情報を収集し、それをもとにお客様向けの見積書を作成します。
営業部門は、開発段階から量産開始後まで、社内とお客様をつなぐ架け橋としての役割を担っています。社内の関係部署をまとめ、プロジェクトを前に進める推進力としても重要なポジションです。
調達部門は、協力メーカーとの窓口として、社外の技術と社内のニーズをつなぐ役割を担っています。HOWAの製品を製造するためには、材料・部品・設備・金型など、さまざまな要素が必要です。調達部門では、それらの購入先を選定し、価格交渉を行います。現在、HOWAが管理している仕入先は、部品・材料関連で約160社、設備・型治具関連で約50社にのぼります。
また、グループ内の海外拠点とも連携し、グローバルな視点で最適な調達を進めるとともに、輸出入業務も担当しています。
さらに、BCP(事業継続計画)への対応として、災害時の供給体制の確保や、海外拠点での供給課題への支援など、国内外のリスクに備えたサプライチェーンの強化にも取り組んでいます。
そのほか、独占禁止法・下請法・貿易関連法令などへの対応も行い、安定した調達活動を支える重要な部門です。
製品の企画段階から量産に至るまで、各工程で品質に問題がないかを確認し、安定した品質の実現を目指しています。
企画段階では、図面に記載された品質要件が社内で実現可能か、また法規制に抵触していないかなどを確認します。量産段階では、定められたルールに従って作業が行われているかをチェックし、品質の維持に努めます。万が一不具合が発生した場合には、原因の調査と再発防止策の検討を行い、迅速な対応を図ります。
さらに、協力メーカーに対する監査も実施し、不良品の隔離が適切に行われているか、良品が安定して入荷できる体制が整っているかを確認・支援します。
品質部門は、製品の信頼性を確保し続けるために、社内外の工程を幅広くフォローする重要な役割を担っています。
受注から納品までのスケジュール、コスト、物流の管理を担当しています。
受注前のRFQ(見積依頼)対応では、納入先や製品サイズなどを考慮し、生産工場・生産ライン・納入荷姿(例:トラックに積載する製品数)を決定します。
そのうえで、製品1個あたりの製造にかかる原価を算出します。
受注が確定すると、量産に向けた計画を立て、各部署の進捗をフォローします。
また、最新の粗利益の確認や輸送費削減活動など、収益性向上に向けた取り組みも行います。生産開始後は、計画通りに進行しているかを確認し、必要に応じて調整を行います。
生産管理部門は、国内外全工場の生産性を高め、安定した供給と収益向上を実現するために、さまざまな支援と調整を行います。
コーポレート部門は、経理・総務・人事など企業全体の運営を支える管理部門です。財務管理、社内制度の整備、人材の採用・育成などを通じて、組織の安定と成長を支援します。経営層と社員をつなぐ役割も担い、企業の戦略実行を円滑に進めるための基盤を構築します。